スカイ・トラベラー・カードとANAアメックス比較
ここでは、ANA便の利用機会が多いフリークエント・フライヤーにとって、ANAの航空券を、以下のどのカードで購入するのが最適なのか比較検討してみたいと思います。
- アメリカン・エキスプレス・スカイ・トラベラー・カード
- アメリカン・エキスプレス・スカイ・トラベラー・プレミア・カード
- ANAアメックスカード
- ANAアメックスゴールドカード
年会費が安く、指定した航空会社搭乗時のマイル還元率が高いスカイ・トラベラー・カードは「良いことずくめ」のように思えますが、公式サイトを丹念に読まないとわかりづらい注意点もあります。
審査自体はアメックスが導入している機械審査(信用情報機関自動照会システム)でスピーディーに結果が出ますので、その前に以下の項目をゆっくりご確認ください。
まず、最初に、少々わかりづらいところのあるスカイ・トラベラー・カードの特徴を確認しておきましょう。そのキャッチフレーズは「この一枚がマイルの常識を変えていく。最強のトラベラーたちへ、貯まる力と選ぶ自由を」です。
その次に、スカイ・トラベラー・カードの改良版であるスカイ・トラベラー・プレミア・カードの特徴を概観し、最後にANAアメックスカードとの比較検討を行いたいと思います。
スカイ・トラベラー・カードの特徴
スカイ・トラベラー・カードの最大の特徴は以下の2点です。
- 事前登録したフリークエント・フライヤー・プログラム提携航空会社の航空券を、その航空会社のウェブサイトから、または、国内発券・海外発券問わず、その航空会社から直接購入すると、ポイントが通常の3倍(100円=3ポイント)になる(「エアラインご利用ポイント3倍」)。提携航空会社の登録(もしくは変更)は年間1回まで可能です。
※メンバーシップ・トラベル・サービス経由、及び、JTBや楽天トラベルなどの旅行会社・旅行代理店からの航空券、パッケージツアー購入、機内販売品、通信販売、空港売店、貨物等の購入は対象外です。 - 貯まったポイントはフリークエント・フライヤー・プログラム提携航空会社のマイルに移行できる。
提携航空会社は、2013年2月時点で合計14社で、スターアライアンスから4社、ワンワールドからJAL4社、スカイチームから4社、航空連合未加盟から2社となっています。人気の高い、エア・カナダ(AC)、ユナイテッド航空(UA)、ルフトハンザドイツ航空(LH)などはまだ参加していませんので、今後の参加が期待されます。
1.の事前登録航空会社は年間1回しか登録(変更)できませんが、2.のマイル移行先航空会社はその都度自由に選択できます。ですから、
- 事前登録航空会社=搭乗機会の多い航空会社
- ポイント移行先航空会社=特典航空券の使い勝手のいい航空会社
となるように事前登録、及び、ポイント移行するのがスカイ・トラベラー・カードの価値を最大限引き出す鍵となります。アライアンスの枠にとらわれる必要はないのですね。
スカイ・トラベラー・プレミア・カードの特徴
スカイ・トラベラー・カードの使い勝手の悪いところを改良したのが、スカイ・トラベラー・プレミア・カードです。
対象航空会社12社の航空券を、その航空会社のウェブサイト、または、国内発券・海外発券問わず、その航空会社から直接購入すると、ポイントが通常の5倍(100円=5ポイント)になります(「エアラインご利用ポイント5倍」)。
ポイント優遇対象が、事前登録した航空会社1社に限定されたスカイ・トラベラー・カードとは違い、対象航空会社全てに拡大されています。
そして、ポイント付与率も3%から5%に大幅アップしています。
その分、年会費も36,750円と高くなっています。
両スカイ・トラベラ・カードの特徴を確認したところで、ANAマイルを貯めるという前提のもとで、ANAアメックスカードとの比較を行なって行きましょう。
年会費とマイル還元率で比較
ANAアメックスカードの年会費は7,350円、ANAアメックスゴールドカードの年会費は32,650円です。一般加盟店での還元率は100円=1ポイント=1マイルですから1%。ANAグループの航空券購入時は、一般カードがポイント1.5倍、ゴールドカードがポイント2.0倍となり、さらに、ポイントとは別に「ANAカードマイルプラス(ショッピングアルファ)」による100円=1マイルが自動的に積算されます。ANAアメックスカードの還元率は2.5%、ANAアメックスゴールドカードの還元率は3.0%になります。
一方、スカイ・トラベラー・カードの年会費は10,500円です。一般加盟店での還元率は100円=1ポイント=1マイルで1%ですが、前項で説明したように、事前登録した航空会社(ANA)から、国内発券・海外発券問わず、直接航空券(正規割引航空券を含む)を購入した場合は、マイル還元率は3%となります。
年会費がANAアメックスゴールドカードの約1/3で同じ還元率を出せるスカイ・トラベラー・カードはかなりお得なように思えますが、ANAマイルへのポイント移行には、別途、「メンバーシップ・リワード ANAコース」の参加登録費(年間5,250円)が必要です。また、お得な「エアラインご利用ポイント3倍」が適用されるのは、通常ポイントと併せて年間60,000マイルまでという制限があります。さらに、ANAマイレージクラブへのポイント移行は年間(1月~12月)80,000ポイントまでという制限があります。
スカイ・トラベラー・プレミア・カードの年会費は36,750円。一般加盟店での還元率は100円=1ポイント=1マイルで1%ですが、対象航空会社12社から、国内発券・海外発券問わず、直接航空券(正規割引航空券を含む)を購入した場合は、マイル還元率は5%となります。
スカイ・トラベラー・カードと同様に、ポイントのANAマイルへの移行については、別途、参加登録費(年間5,250円)が必要です。「エアラインご利用ポイント5倍」が適用されるのは、通常ポイントと併せて年間100,000マイルまでとなります。
真に比較すべきは、実質的な年会費15,750円(年会費+参加登録費)で、「エアラインご利用ポイント3倍」の適用とポイント移行に制限がかかるスカイ・トラベラー・カードと、ANAアメックスカード、並びに、実質的な年会費42,000円(年会費+参加登録費)で、「エアラインご利用ポイント5倍」の適用とポイント移行に制限がかかるスカイ・トラベラー・プレミア・カードとANAアメックスゴールドカードということになりますね。
スカイ・トラベラー・カード | スカイ・トラベラー・プレミア・カード | ANAアメックス・カード | ANAアメックス・ゴールド・カード | ||
---|---|---|---|---|---|
基本カード年会費 | 10,500円 | 36,750円 | 7,350円 | 32,500円 | |
家族カード年会費 | 5,250円 | 18,375円 | 2,625円 | 16,275円 | |
マイル還元率 | 一般加盟店 | 100円=1マイル | |||
ANA航空券 | 100円=3マイル ※但し、年間60,000マイル上限 |
100円=5マイル ※但し、年間100,000マイル上限 |
100円=2.5マイル | 100円=3マイル | |
移行手数料 | 5,250円 | 6,300円 | 無料 | ||
ポイント移行上限 | 年間80,000マイル | 制限なし |
搭乗ボーナスマイルを獲得できず、2枚持ちの必要のあるスカイ・トラベラー・カード
スカイ・トラベラー・カード、スカイ・トラベラー・プレミア・カードは、ANAマイレージクラブ会員証機能の付いたANAカードではありませんから、ANA便搭乗時は別途クレジット機能のないANAマイレージクラブカードを携行しないとフライトマイルを積算できません。自然、2枚持ちとなります。
ANAアメックスカードであれば、1枚持ちで事足りる上、ANAカード会員限定の特典として、搭乗ごとのボーナスマイルも獲得できます。一般券面なら区間基本マイレージの+10%、ゴールド券面なら+25%、今後登場が予想されるANAアメックス・プラチナカードなら+50%です。スカイ・トラベラー・カード会員、スカイ・トラベラー・プレミア・カード会員が同様の搭乗ボーナスマイルを獲得しようとすると、別途、ANAカードを持たざるを得ません。
スカイ・トラベラー・カードでANAマイルを貯めようとすると、クレジットカード2枚持ちのコストも考慮に入れなければならないでしょう。
スカイ・トラベラー・カード | スカイ・トラベラー・プレミア・カード | ANAアメックス・カード | ANAアメックス・ゴールド・カード | ||
---|---|---|---|---|---|
ANAマイレージクラブ会員証機能 | × | ◯ | |||
搭乗ボーナスマイル | × | 区間基本マイレージの+10% | 区間基本マイレージの+25% |
アメリカン・エキスプレス提供サービス
ストレスフリートラベル
スカイ・トラベラー・カード | スカイ・トラベラー・プレミア・カード | ANAアメックス・カード | ANAアメックス・ゴールド・カード | |
---|---|---|---|---|
メンバーシップ・トラベル・サービス | ◯ | |||
海外サポート | ◯ | |||
トラベル・サービス・オフィス | ◯ | |||
エアポート・ラウンジ | 国内27空港、海外2空港(仁川、ホノルル) | |||
空港パーキング | ◯ | |||
帰国時手荷物無料宅配サービス | 成田、中部、関西 | 羽田、成田、中部、関西 | 成田、中部、関西 | |
空港クロークサービス | ◯ | |||
エアポート送迎サービス | × | ◯ |
保険サービス
スカイ・トラベラー・カードの旅行傷害保険の本体の内容は、ANAアメックスカードと同一です。しかし、ANAアメックスゴールドカードにも付帯していない航空便遅延費用補償が付帯しています。
航空便遅延費用補償は、定時到着率の高いANAやJAL、海外のナショナル・フラッグ・キャリアを利用する際はお世話になることはまずないでしょうが、LCC利用時はもしかしたらお世話になることがあるかもしれません。今後、需要の増える旅行保険だと思います。
スカイ・トラベラー・カード | スカイ・トラベラー・プレミア・カード | ANAアメックス・カード | ANAアメックス・ゴールド・カード | |
---|---|---|---|---|
海外旅行傷害保険 | 最高2,000万円 (利用付帯) |
最高5,000万円 (利用付帯) |
最高3,000万円 (利用付帯) |
最高5,000万円 (自動付帯) 最高1億円 (利用付帯) |
国内旅行傷害保険 | 最高2,000万円 (利用付帯) |
最高5,000万円 (利用付帯) |
最高2,000万円 (利用付帯) |
最高5,000万円 (利用付帯) |
ショッピングプロテクション | 年間最高200万円 | 年間最高500万円 | 年間最高200万円 | 年間最高500万円 |
オンラインプロテクション | ◯ | |||
リターン・プロテクション | × | 年間上限15万円 | × | 年間上限15万円 |
キャンセル・プロテクション | × | 年間上限10万円 | × | 年間上限10万円 |
航空便遅延費用補償 | ◯ | × |
事前登録した航空会社の航空券購入時に100円で3マイル貯まるスカイ・トラベラー・カードは魅力的ですが、「エアラインご利用ポイント3倍」に年間上限が設定されていることと、ポイントのANAマイル移行時は参加登録費という手数料がかかることが欠点です。「ANAカードマイルプラス(ショッピングアルファ)」のお陰で、ANAアメックスカードもANA航空券購入時は還元率が上昇しますし。
逆に考えると、「ANAカードマイルプラス(ショッピングアルファ)」のような、提携カードによる自社便航空券購入時の優遇制度がないフリークエント・フライヤー・プログラムのマイルを貯める場合には、スカイ・トラベラー・カードはかなり有利に働くでしょう。例えば、シンガポール航空、タイ国際航空、スカンジナビア航空などです。これらの航空会社のマイルへポイント移行する場合は、参加登録費もかかりませんし、年間移行上限の設定もありません。
スカイ・トラベラー・プレミア・カードについては、割高な年会費を考慮しても、フリークエント・フライヤーであれば充分お釣りが来る内容だと思います。